一生夏季休暇

読んだ本の感想(ネタバレしかない)、海外サッカー追っかけ、雑記。

【感想】十二国記『白銀の墟 玄の月』| 泰麒、幸せになって。ていうか驍宗様マジで一生のお願いだから泰麒を幸せにしてあげて。

読みました。終わっちゃった...

まず、感想の前にどうでもいい話しますね。

十二国記ハマってから、ちょいちょい十二国記成分補給のためにpixiv見てたんですよ。創作イラストとか漫画とか、みなさん上手いなあ〜って思いながら。

一応ネタバレ回避はしようと思っていて、白銀の墟に直接言及しているものは避けていましたが、単純に戴主従を描いているものとかは普通に見て楽しんでいたんですよ。

驍宗様と泰麒の仲睦まじい創作いっぱいあるじゃないですか。ああ、白銀の墟を経て、この二人もやっと落ち着いて過ごせているのかな。白銀の墟では戴主従のそういう姿がきっと描かれているんだろうな...
そう期待を膨らませていたのです。

白銀の墟 四巻の後半部分を読むまでは。

読み進めるごとに、不安が募りました。

え、あとこの厚みしか無いよ?これで話終わるの?

まあおそらく最終巻なんだから、話はうまく纏まるんだろうな。

でも、戴主従のほのぼの後日エピソードとか、入れる余地残ってないんじゃない??

 

エピローグが欲しかったなあ...!!だって、驍宗様と泰麒、ほぼ二人の会話してないよ??

7年振りに会えたのに...まあ二人とも満身創痍でそれどころじゃないんですけどね!

 

というか、創作の皆さんの妄想力がすごいのか...!公式からの供給が少ないと創作が広がるってことですか?それか私が読めていない先行配信短編で描かれているんですか...!!

 

すみません、前置きが長くなりました。

白銀の墟 玄の月。ほぼほぼ苦しい展開で、驍宗様も泰麒も、ハッピーエンドになれるのか。ハラハラしながらひたすら読み進めていました。

本作の主人公といったら泰麒なんでしょうけど、泰麒視点の描写が少ないんですよね。その上かなり冷ややかな態度取っているので、心情が読めない。逆に李斎視点の展開は多くて、彼女が裏主人公って感じでしたか。そして驍宗様の心理描写は泰麒よりも更に少ない。ていうかほとんど後半まで出てきてなかったですね。

 

とにかく物語を読み進めたくて、なのであまり考察はできていません。琅燦が何者なのかとか、耶利の主公は本当に琅燦なのか?、泰麒の角はいつ治ったのか...等々。色々考察記事が上がっていたので、そちらも楽しませていただきました。

これから2周目、3周目(できるか?)と読んでみて、新たな気づきを自分の中でも得られたらと思います。

やはり私は泰麒を応援していた身ですので、泰麒の苦しい状況が続く本作、読みながら辛かったです。言うて蓬莱から戻ってきたばかりで、李斎とも離れて白圭宮に乗り込んで...
阿選には斬りつけられ、叩頭させられ、しまいには人を自ら殺傷するんですよ...

私は中古で買ったので知らなかったですが、一巻の帯にはこんな文章が書かれていたそうです。

「驍宗(あなた)こそ、泰麒(わたし)が玉座に据えた王。だからー」

直接この台詞は作中に出てきていませんが、このキャッチコピー、素晴らしすぎません...?

「だからー」

よくよく考えてみれば、泰麒が驍宗様に誓約して登極してから半年で、二人とも行方不明に。そこから7年もの間、お互い会えていないんですよ。わずか半年しか一緒じゃなかったのに、この台詞が出てくるって。

驍宗様の弾劾が決まって、もう打つ手がないと耶利にこぼした時も、

「ー後悔はしていません。驍宗様が王で良かったと、それだけは揺らがない」

長年の付き合いでもなく、こうも断言できるのって、やはり王と麒麟の関係性なのでしょうか。

自分は不甲斐ない麒麟だった、と。6年以上蓬莱に流されて、その間常世での記憶をなくして何もできなかった。むしろ蓬莱では多くの人を犠牲にしてしまった。自分の意志ではないにしても。

阿選に叩頭させられた時、正頼を救出しようと門番と対峙した時。

蓬莱での人々のことを泰麒は思い出しているんですよね。抉られるような額の痛みも、蓬莱で飛び降りて犠牲になった人達に比べれば。

人を傷付けてまで突き進む勇気を、自分を受け入れて、見守ってそして故国への執念を見せてくれた広瀬の意志の強さに重ねて。

広瀬のことを、泰麒がちゃんと心の中に留めていたことが嬉しかったです。魔性の子からでいうとすごく時が経っているような気がしますが、実質1年も経っていないですからね。決して楽しい日々でもなく、与えた犠牲も大きかったけど、それでも広瀬と出会えたことは泰麒にとっては無駄ではなかった...
(魔性の子、再読時はすごい感情で読めそうだ...)

 

そんな泰麒、弾劾の場で驍宗様もろとも死のうとするわけですよ。叩頭して、驍宗様が主だと示して、阿選に討たれて終わる。そうすれば天命が改まって、阿選も王には選ばれない。

この時は泰麒、人を殺傷することも考えていたのか。いや、その場で考えたのか。

側に護衛として立っていた者の剣を奪って突き立てて、驍宗様の元へ。この意志の強さよ。そこからの、驍宗様への叩頭。

「長い間、申し訳ありませんでしたーー主上

泰麒が謝ることないんだよおおおおお!!

驍宗様もさ、大きくなったな。じゃないんだよ!!

泰麒めっちゃ辛い思いして頑張ったんだからああああ!!!

そこは抱きしめてあげてええええ!!(誰)

 

その後泰麒、転変してすりすり。かわいい。

角は治ったんだね、よかったね。

 

江州へ渡って、延王延麒がお出迎えして。延主従大好きな私だけど、この時ばかりは早く戴主従を!!もう残りページ少ないんだから!!二人の再会をばもっと!!と叫びまくっていました。

 

結局泰麒は蓬山へ。後遺症残るてなんやねん。穢瘁の後遺症ってどんなよ...泰麒は幸せになれるんですよね!!?

このシーンは李斎語りですけど、面白かったのが蓬山で玄君(西王母だっけ?)に会ったけどあいつらつまんねーことしか言わねーのって(笑)

言い方全然違いますけど、あんなに黄昏の岸でお伺い立てに行ってたのに、やっぱあいつら使えねーなって思ったんだね、李斎も。天命について教えてはくれるけど、助けてはくれないもんね。黄昏の岸で泰麒が李斎に慶を出ようと言った時、李斎は玄君にお伺いを立てましょうと言ったけど、泰麒は初めから不要と言っていましたもんね。天命はあるけど、むしろだから麒麟も存在している訳だけど、忖度する必要はないよね。意志の力でどうにかなる。反動は大きいけど、それほどに突き動かす意志があれば...

紛れもない戴の血脈。

驍宗様にそう言わしめる泰麒...本当に幸せになって。てか驍宗様、幸せにしてあげて!!!

 

最後のページの戴史乍書、それなりの量があって、乍王朝が長続きしたんだなあ...としみじみすると同時に、ああ、終わっちゃったな、という感情が込み上げてきました。雁も慶も史書の挿絵なかったのに。なんか映画のエンドロール終わりの本当の最後に一枚絵が差し込まれるような、あの感じ。終わり方としては好きなんですけど、あれ寂しさMAXになりますよねえええ!!

 

十二国記の好きなところであり残酷なところは、王は寿命で死ねないことですよね。王朝が終わるということは、失道なり何かしらの国の傾きがあるということ。帰山で利広が言っていましたが、数百年と長く続いた王朝は、悲惨な最期で終わることが多いと。

長く続いて欲しいけど、悲惨な終わりは迎えてほしくないのですよ...
あの戴史乍書の厚みって何年分なんでしょ?せめてその間はずっと幸せでいてくれ...

そして短編集。短編集を、何卒...!!